東工大お祭りづくり報告書 》
第3章 新しいお祭りが持つ力
T.新しい運営方法だからこそ得られるもの
ここでは、時代に応じて変化してきたお祭りが、現在の地域社会にどのような効果を及ぼしているの
かを捉える。
お祭りの運営を主としていながら、地域に密着した役割も果たす横貳睦の横川二丁目町会との関わり
を通して新しいお祭りの持つ力を考えていく。
@)地域の自治力の向上
横貳睦はもともとお祭り好きの同好会であり、今も基本的な立場は変わっていない。しかし、活
動を続けるうちに、自治会の役職につく人が出てくるなど、自治会とのつながりが強くなってきて
いる。いまでは、自治会の重役予備軍として、青年部的な役割を担っている。
これは、現在多くの地域で抱えている、自治会の担い手不足を解消する要素を含んでいる。お祭
りという自分たちが参加しやすいものを通して、自治の面白さ、重要性に気づき、その役割を担っ
ていくというシステムが出来ていると言える。自治会の人々にとっても、あとを受ける若い世代が
身近にいることは刺激になり、意欲ややりがいに繋がると考えられる。
A)誰もが気軽に参加できるきっかけ
横貳睦は、基本的にはお祭りが好きならば誰でも参加できる団体である。それは、堅苦しいこと
を抜きに、誰もが地域に参加できるきっかけとなっている。地域の仕事を担うといった感覚ではな
く、楽しいお祭りに参加して神輿を担ぐために始めて、それが徐々に仕事を任されるようになって
いる。中高生や居酒屋のお父さんなど、実にさまざまな人が横貳睦に参加している。これは、「楽
しそうだからやってみる」ということが立派な地域参画の動機として成り立っていることであると
いえる。
B)地域内での世代を超えた結束力
先輩、後輩の認識はあるものの、横貳睦で活動している人々は、共にお祭りが好きな仲間同士で
ある。そこに参加している人の年代は全く関係ない。30〜40代の人々を中心に20代から60
代・70代までの人が、世代を超えた友人関係を築いている。同好会としての親睦会や飲み会、ま
た揃いのはっぴや手拭をあつらえるなど、さまざまな楽しみ活動を通して、睦としての結束を高め
る原動力となっている。
C)他の地域やお祭り団体との協力体制
お祭り団体の特徴は、お祭りに参加することが好きで活動している団体であるので、自分たちの
地域内に留まらず、広い範囲で活動を展開していることである。他の地域のお祭りに参加したり、
そこでまた別のお祭り団体との情報交換や協力をしたりすることで、従来の地域だけに縛られない
互助関係ができあがっている。このような団体ならではの柔軟な協力関係は、お祭り団体だけでな
く、ひいてはそれぞれの地域同士の協力関係に繋がることも期待できる。
U.今後に向けた新たな取り組みの提案
Tでみたように、地域の誰もが自由に、そして楽しみながら参加することのできるお祭りは、今後の
地域社会において様々な世代が協力していくことのできる場として、大きな可能性を持っているといえ
る。
そこで、お祭りを維持していくだけでなく、お祭りを通して地域の力を引き出すという意味でも、さ
らなる新たな取り組みを提案したいと思う。
@)定年退職者や高齢者の積極的な参加
少子高齢化が進む中、ひとり暮らしの老人が家に引きこもってしまったり、生きがいを見いだせ
ない、といった問題が起きている。
そこで、地域の伝統的な要素を守りながら、誰もが気軽に参加できる祭りは、高齢者が地域に積
極的に参加していくことのできるよい機会だと考えられる。
高齢者は長年の経験から多くの知識を持っており、特に地域に長く住んできた人は地域の伝統文
化に関しても詳しい。よって、高齢者は、ただ見物客として祭りに参加するだけでなく、祭りの準
備や運営において助言をしたち相談にのったり、といった役割を担うことができるのではないだろ
うか。
A)学生世代の参加
地域の若者、とくに中高生や大学生は祭りに参加することは少なくなっている。
もともと地域に関心の少ない年齢層であることから、なかなか自分の地域の祭りに積極的に参加
することはない。しかし、地域の担い手を育てていくという意味で、若者が地域への関心を持つき
っかけとして祭りへ参加することは重要である。
祭りを運営していく中心世代とは別に、若者中心の組織をつくり、自主性を持って企画できる機
会をつくることで、より祭りへの意気込みが高まるのはでないだろうか。祭りの準備や運営にはさ
まざまな場面があり、はっぴやはちまきのデザイン、新しいイベントの提案といったような、若者
の新しいアイディアを起用できる場面も多いはずである。任せる役目を明確に示すことが重要であ
る。
