神輿への興味

江戸神輿について

『神輿の種類と主な特徴』

 神輿とは、神様が御動座なさる時の乗り物です。東京の神輿を「江戸神輿」と呼んでいますが、漠然と
しているのが現状のようです。「江戸神輿」を定義する上で整理していくと、関西型のひとつ京神輿が江
戸神輿の原点ではないかと言われています。蕨手が屋根の下より出ているのが関西型の特徴で、多くは平
屋台造りで胴には鮮やか布で覆う帷を付け、仏教色が濃いようです。
 一方、関東型は蕨手が屋根の上から出ているのと、鳳凰の尾が下に流れているのが特徴です。そして江
戸神輿となると勾欄造りに特徴があります。江戸神輿は神社の社殿境内を模したものです。鳥居と囲垣、
そして時には狛犬が置かれている神輿もあります。
 神輿を形状的に分類する上で「平屋台造り」と「勾欄造り」を説明します。「平屋台造り」とは台輪上
に胴がそのまま建ててある造りを言い、「勾欄造り」は現在の江戸神輿の定番である胴を嵩上げして、周
りを回廊と勾欄と階(きざはし)で装飾した造りを呼びます。元来神輿は神社のみにありまして町方は附祭
りとして山車を出していました。江戸も神田神社、山王日枝神社、根津神社、浅草神社、鳥越神社、亀戸
天神、富岡八幡宮までも山車祭りだったとのことです。明治以降は都市化が進み、山車の引き回しができ
なり、山車は川越、熊谷、栃木等の地方に売却されたようです。明治後半になると町方でも神輿を持つよ
うになり、大工の棟梁、仏具師などが京神輿を真似て製作するようになり、そのうち専門職として神輿師
が誕生したようです。
 関東型の一種である江戸神輿は胴が細くて屋根が大きいのが特徴で、湘南型神輿は大きさの割りに軽く
できています。また、神輿の高さは台輪巾の三分の二程度と低く押さえられているのに対して江戸神輿は
台輪巾の八割以上となっているものが多いようです。


『江戸神輿の特徴』

 神輿の胴の正面は扉になっていて、左右に開く唐戸が付いていますが、残りの面についてはいろいろな
バリエーションがあります。一番多いのは前後が扉で、左右はその御祭神に因んだ彫刻等が施されている
パターンです。それ以外にも三方向が彫刻仕上げとか、彫刻のかわりに板金で仕上げられているものなど
があります。
 神輿の屋根型は、一般的には延屋根、唐破風、小唐破風などに分けられます。神社の鳥居には八幡鳥居
、稲荷鳥居、神明鳥居等、その神様によって鳥居の形式が様々に異なり、またそれらの木割り寸法も決ま
っています。一般的な神輿の鳥居は明神鳥居がほとんどです。また鳥居の柱間の寸法は、台輪寸法の三分
の一程度が一般的ですが、最近の江戸神輿にはやや広めに造られているものも多くあります。また神輿の
胴部分の背が高いため、鳥居のプロポーションも建築の鳥居の木割りよりも背を高くして造られているの
が多いようです。
 江戸神輿の中に、あらゆる場所に彫刻が施されているものがあります。台輪の四神に始まり、胴の左右
に御祭神ゆかりの場面、下長押の下には「波に千鳥」、長押の上には「十二支」、胴の丸柱や鳥居には「
龍」が巻き付いているといった具合です。神輿の屋根に付く屋根紋は、その神社の御祭神を表しています
。東京の神輿の中には、この屋根紋が屋根の一面に三個、または五個と付いているものもあります。また
御祭神が一つでない場合、例えば巴紋と稲荷紋というように、何種類かの神紋を配置している神輿もあり
ます。
 神輿の屋根の頂点には、大鳥(鳳凰)や擬宝珠等があります。東京においては、亀戸天神の町会神輿の一
部に見られるように梅鉢を頂いたものもありますが、数の上では鳳凰が乗っている神輿が圧倒的に多く見
られます。また、昔の神輿に比べて、近来の江戸神輿の大鳥は、非常に大きく出来ているようです。神輿
の屋根の下から大きく四隅へ張り出している蕨手は、どちらかというと仏教様式の流れをくむものであり
、屋根を綱で固定するための道具です。江戸神輿の中にはこの蕨手に凹凸のある唐草模様をつけたり、透
かし彫り、龍を巻く、彫金細工など意匠を凝らしたものも見受けられます。
 東京都内の神輿は、四天棒で担ぐことが基本です。神輿の台の棒穴を通った二本棒に横棒を渡し、さら
に左右に脇棒を付けて渡御を行ないます。大きい神輿ではさらに脇棒を付けて六天としたり、横棒が増え
たりします(東京都内においても、例えば南千住の二天棒や神輿の横で太鼓を叩く品川神輿など、地域に
よって異なっているものもある)。東京都内の神輿の棒穴と通る棒は漆塗りのものがほとんどで、その前
後の先端には神社名や町会名のついた金物が付いています。東京でも、神輿の大鳥に稲穂をくわえさせ、
収穫の祈願や感謝の印としている所があるようです。
 東京の神輿の場合、屋根の大鳥に付けた駒札によって、その神社や町会などが分かるようになっていま
す。なお、神社神輿には駒札を付けていない場合も多く、また付けてある場合でも「○○神社」ではなく
、「本社」等の表示が多いようです。神輿の掛け声は日本全国にいろいろありますが、その基本は「ワッ
ショイ」です。しかし、現在では深川や品川方面を除いて、東京都内及び周辺地区では江戸前の担ぎ方と
言えば、「ソイヤ、ソイヤ」が一番一般的ではないでしょうか。
 江戸前の祭り装束は、腹掛けに股引き、足は黒足袋に草鞋掛け、そしてその上から半纏に帯をきちっと
締めて、頭に手拭というのが正装ということになっています。もちろん、各町会や神輿同好会によって多
少スタイルの違いはあっても、「粋に着こなす」ことが基本となっています。


『神輿に関するあれこれ』

 江戸神輿に関しては「四神」が必ず出てきます。「青龍・朱雀・白虎・玄武」「東・南・西・北」「春
・夏・秋・冬」「青(緑色)・朱(赤色)・白・黒」と表記されます。神輿の正面には朱雀の彫刻が、台輪や
胴部の欄間や露盤下に記されています。
 神輿の渡御で行った道を途中から戻る時があります。神事では右回りですから神前の榊と同じく、時計
回りに神輿を回します。
 都立墨東病院の東にある「旅所橋」は亀戸天神様の鳳輦がお休みしたところ「お旅所」の名残だそうで
す。


※墨田区立横川コミュニティ会館所蔵「神輿図鑑1」「神輿図鑑2」より




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