『氏神様(うじがみさま)』
日本では古くから、死者
の霊は山に行き、そこにし
ばらく留まって、浄化され
た後に天界に昇って神とな
ると信じられていた。これ
を祖霊(それい)といい、古
くは生きている者と血縁関
係にある祖先の霊が神とな
ると考えられていた。われ
われの祖先は、血縁の氏族
を中心に共同体(ムラ)を形
成してきたが、それぞれの
氏族は祖先神を氏神として
祀っていた。つまり、氏神
とはもともと特定の氏族の
守り神だった。このような
氏神は村々の鎮守の神とし
て祀られ、その神を信奉す
る村人たちが氏子と呼ばれ
るようになる。時代が下る
と、氏族の中には次第に勢
力を増すものが現れる。彼
らは豪族となり、彼らを祀
る氏神も強大な勢力を誇る
ようになった。豪族たちは
自らが信奉する氏神を他の
氏族にも信奉するように勧
め、あるいは強制的に信奉
させた。その結果、有力な
豪族を核として、氏神はブ
ロックごとに統一される傾
向を生んだ。そして、これ
らの豪族の頂点に立ったの
が、六世紀に大和朝廷を作
り上げた天皇家で、天皇家
が信奉していた氏神、つま
り守り神が天照大御神なの
である。太古から稲作を営
んでいた日本人は、太陽を
稲の順調は生育のために不
可欠の存在として崇めてき
た。多くのムラで、これを
神格化した氏神が守り神と
して祀られていた。天皇家
が最も重視していた神も太
陽神で、これに天照大御神
という名をつけて、国家的
な神としたのである。
広辞苑では「氏の祖先の
霊を神として祀ったもの。
」「住む土地の鎮守の神。
」となっている。